今日も酔り道

凡人けんちゃそのブログにするまでもない日々

教誨師についての本を読む

f:id:kenchaso6:20201218141624j:plain

教誨師 /  堀川惠子

講談社文庫・2018年

久しぶりに読み応えのある本を読んだ。

生きるとは、救いとは、死刑とは。

罪人になってしまったひとと自分のボーダーラインは…。

考えのでないことをたくさん考えた。

 

教誨師というのはひらたく言うと受刑者と対話する宗教人らしい。

この本を読むまでそんなものがあるとは知らなかった。

宗派はキリスト教、仏教など色々あるようだ。

この本では受刑者の中でも最も罪の重い死刑囚と対話を重ね、死と生と宗教を見つめ続けた広島県出身・浄土真宗の教誨師の生い立ちとその記録である。

 

原爆投下をギリギリのところで生き抜き、さまざまな死刑囚と対話し、死刑執行を目の前にしてきた教誨師は宗教の何を見たか?

死刑や宗教、教誨師…といった見慣れぬ言葉が並び、読む前はなんとなくハードな印象を受けるが読んでみるなんてことない。

書いてあることは総じて「死と救済」についてが大半をしめる。

 

教誨師が病気で死んでも、死刑囚が刑の執行により死んでも、その「死」に違いはない。

「死」は「死」である。

「死刑制度」もそれもまたひとつの「死」にすぎない。

「死」はすべての人間に等しく、隔たりを与えない。

その無情な死を前にして、救済などというものは存在しないと、読み進めるうちに知ってしまう。

 

これが非常にショッキングなのだ。

分からなくなるのだ。

教誨師や宗教にはいったいなんの役目があるのだろう?

 

僕の持論であるが作りものはノンフィクションには叶わない。

ノンフィクション、ドキュメンタリーには多様性が存在し、抗うことができないドラマがある。

どんなにお金をかけたハリウッド超大作の映画も生身の物語には及ばない。

ノンフィクション、ドキュメンタリーがまちがいなく一番おもしろい。

そんなノンフィクションの中でも中立的な視線で描かれたものほど夢中になるものはないのだ。

(個人的にはNHKの番組の作りかたやNetflixのタッチが当てはまる)

 

そして「教誨師」はそんな一冊である。

おもしろいと言ってしまっていいのか分からないが、圧倒的なパワーを持った一冊であるのは間違いない。

この本は「死」を、「救い」を、そして「死刑制度」を真正面から問う。

「死刑」判決が下された影に、執行するひとたちがいること、されるひとがいること、そのひとたちを救おうと疾走するひとがいることを僕たちは知る。

 

読むのにとても体力を使いますが非常に読み応えのある本です。

日頃からなんかしらの生死感を思って生きるひとにはとても響くと思います。

教誨師 (講談社文庫)

教誨師 (講談社文庫)

  • 作者:堀川惠子
  • 発売日: 2018/04/13
  • メディア: Kindle版